INTRODUCTION
演劇×踊り×音楽
文豪、太宰治の瑞々しい感性とTORANOKOの
アーティスティックな情熱と個性がせめぎあう未来への創造のはじまり…
レトロ~ポップミュージックが全編に流れる世代を超えたエンターテイメント!!
ルイ・アームストロング ビリー・アイリッシュ レディオヘッド
この物語は、思春期のどこか道中で瓶詰めにされた少女以外、ほとんど何も老化していないようだ・・・
太宰が時代を先取りしていたように、TORANOKOが表現する80年後の『女生徒』の不安や揺れ動く感情は、とても身近に感じられるが、驚嘆させられるものもたくさんある。若い実演者たちは、予期された反抗期を演じているのではなく、歌や踊りを通して出口がない考えや感情をはじける遊び心でもって表現している-
TORANOKO20年のめくるめく芸術活動の集大成!
STORY
ああ、生意気、生意気
『女生徒』(1939)は、川端康成に絶賛された太宰治の代表作。この作品は、太宰のもとに送られてきた一冊の日記が題材となっている。
『女生徒』はたった一日の物語。母親とふたり暮らしの14歳の主人公、しずが朝、重たい目を開けたその瞬間から、私たちは彼女の感情のジェットコースターに乗りこむことになる。“朝は意地悪。悲しいことが、たくさんたくさん胸に浮かんで、やりきれない”と彼女は嘆く。彼女の朝の考察は特に、夢想的で形而上学的、耽美的なものである。
しずは気まぐれな語り手で、空想にふけったり、突然気分が変わったりする。彼女の内面は、主に想像力と衝動に支配されていて、母親のことを気に食わなくなったかと思いきや、急に愛おしくなってくる。彼女は日常のふとした瞬間に、自分が少女から大人になっていく虚しさを感じる。一日が進むにつれて、しずは自分を取り巻く世界と、その中での自分の位置づけについての切迫した疑問に、ますます目を向けるようになる。